欠勤控除の計算方法を社労士が解説|法律に定めがないからこそ就業規則が重要です

月給制の従業員が欠勤したとき、給与からいくら差し引けばよいのか——実は労働基準法に「欠勤控除はこう計算する」という定めはありません。だからこそ、就業規則の作り込みがそのままトラブルの分かれ目になります。今回は欠勤控除の考え方と計算方法を整理します。

欠勤控除とは?なぜ法律に計算式がないのか

欠勤控除とは、従業員が欠勤・遅刻・早退などで働かなかった時間分の賃金を給与から差し引くことです。根拠になるのはノーワーク・ノーペイの原則、つまり「働いていない時間には賃金は発生しない」という労働契約の基本的な考え方です。

ここで重要なのは、労基法には控除額の計算方法が規定されていないという点です。つまり会社が就業規則で定めたルールが基準になります。逆に言えば、規定が曖昧だと「その控除額はおかしい」と争いになりやすいということです。

なお、賃金の全額払いの原則(労基法第24条)との関係も押さえておく必要があります。欠勤控除は「そもそも発生していない賃金を支払わない」ものなので原則違反にはなりませんが、制裁的な天引きは別問題です。詳しくは知らなきゃ危険?賃金の「全額払い」とは|制服代や社宅費の天引きはNG?をご覧ください。

計算方法は3パターン|どれを選ぶかは会社次第

実務でよく使われる計算方法は、次の3つです。

  • 月平均所定労働日数で割る:月給 ÷ 年間所定労働日数÷12 × 欠勤日数。月ごとの不公平が出にくく、最も一般的
  • 当月の所定労働日数で割る:月給 ÷ その月の所定労働日数 × 欠勤日数。実態には合うが、月によって1日あたりの控除額が変わる
  • 暦日数で割る:月給 ÷ 暦日数 × 欠勤日数。休日も含むため控除額が小さくなり、採用例は少ない

たとえば月給30万円、月平均所定労働日数20日の従業員が2日欠勤した場合、30万円 ÷ 20日 × 2日 = 3万円を控除する計算になります。

時間単位の遅刻・早退控除では、1時間あたりの単価が必要です。時間単価の出し方は月給を時給に換算する計算方法【計算式と具体例】で詳しく解説しています。

実務で気をつけるポイント

欠勤控除をめぐるトラブルは、次のような場面で起こりがちです。

  • 就業規則に計算方法が明記されていない(最大のリスク要因)
  • 控除の対象となる手当の範囲が不明確(通勤手当や住宅手当を含めるのか)
  • 欠勤日に有給休暇を充てる場合の取り扱い
  • 控除額が実際の月給を上回る「控除しすぎ」の発生

特に注意したいのが、遅刻・早退と有給休暇の関係です。「遅刻した分を有給で埋める」といった運用は、ルールを整理しておかないと後々もめる原因になります。この点は遅刻控除と有給の関係、間違えやすい実務ポイントで解説しています。

また、制裁として賃金を減らす「減給の制裁」は、欠勤控除とはまったく別物です。減給の制裁には労基法第91条による上限規制(1回の額が平均賃金の半額まで等)があるため、混同しないよう注意が必要です。

賃金の取り扱いに関する基本的なルールは、厚生労働省の労働基準に関する案内ページでも確認できます。

「就業規則に欠勤控除の定めがあるか不安」「今の計算方法で問題ないか確認したい」という方は、労務リスク診断で現状を整理することをおすすめします。具体的なルール設計については、お気軽にご相談ください

この記事を書いた人

花田勝社会保険労務士

人材業界での15年の実務経験を経て、東京都足立区(北千住)で開業。中小企業の労務管理・就業規則・助成金申請を、実務目線でサポートしています。

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