平均賃金の計算方法を社労士が解説|解雇予告手当・休業手当の基礎になる金額とは
「解雇予告手当」「休業手当」「年次有給休暇中の賃金」——これらに共通して使われるのが平均賃金という考え方です。名前は知っていても、いざ計算するとなると意外とつまずきやすいのがこの平均賃金。今回は計算方法を具体例つきで整理します。
平均賃金とは?どんな場面で使う?
平均賃金とは、労働基準法で定められた1日あたりの賃金額のことです。労働者に何らかの手当や補償を支払う際の「基準となる金額」として使われます。主な場面は次のとおりです。
- 解雇予告手当(労基法第20条):平均賃金の30日分以上
- 休業手当(労基法第26条):平均賃金の60%以上
- 年次有給休暇中の賃金:平均賃金で支払う選択肢がある
- 休業補償・障害補償など(労災関連)
- 減給の制裁の上限(1回の額が平均賃金の半額まで)
このように、平均賃金は労務管理のさまざまな場面で登場する基礎中の基礎となる金額です。解雇予告手当との関係は【労基法第20条】解雇するなら30日前に予告を|予告手当の計算方法と注意点もあわせてご覧ください。
原則の計算方法|直近3ヶ月で割る
平均賃金は、原則として次の式で計算します。
平均賃金 = 算定事由発生日以前3ヶ月間の賃金総額 ÷ その期間の総暦日数
ポイントは、分母が「労働日数」ではなく暦日数(カレンダー上の日数)であることです。土日祝も含めた3ヶ月分の日数で割ります。
たとえば、賃金総額が90万円、3ヶ月の暦日数が92日だった場合、平均賃金は90万円 ÷ 92日 = 約9,783円となります。
なお「3ヶ月間」とは、算定事由が発生した日の直前の賃金締切日からさかのぼった3ヶ月間で計算します。賃金総額には基本給だけでなく、通勤手当や残業代なども含めます。一方、賞与など臨時に支払われるものや、3ヶ月を超える期間ごとに支払われるものは除きます。
最低保障額に注意|時給・日給制の落とし穴
原則どおり計算すると、時給制・日給制・出来高制の人は不利になることがあります。欠勤が多かった月があると、暦日数で割る原則計算では金額が大きく下がってしまうためです。
そこで労基法では、こうした人のために最低保障額を定めています。
最低保障額 = 賃金総額 ÷ 実際に労働した日数 × 60%
時給・日給制の場合は、「原則計算」と「最低保障額」のどちらか高い方を平均賃金とします。月給制の人は通常この問題が起きませんが、時給・日給のパートやアルバイトを多く雇用している場合は特に注意が必要です。
月給を時給に換算する考え方については月給を時給に換算する計算方法【計算式と具体例】も参考になります。平均賃金の詳しい算定ルールは、厚生労働省の労働基準に関する案内ページでも確認できます。
「予告手当や休業手当の計算が合っているか不安」「パートの平均賃金の出し方がわからない」という方は、労務リスク診断で現状を整理することをおすすめします。具体的な計算については、お気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
花田勝社会保険労務士
人材業界での15年の実務経験を経て、東京都足立区(北千住)で開業。中小企業の労務管理・就業規則・助成金申請を、実務目線でサポートしています。
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