【令和7年新設】不妊治療・PMS対応のための「両立支援助成金」解説

「不妊治療を理由に休むなんて前例がなくて…」

「月経に伴う体調不良で欠勤が続く社員がいるけど、制度が整っていない」

――そんな悩みに直面する企業が、実は増えてきています。

令和7年4月から新たにスタートした「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」は、

こうした健康課題に寄り添いながら、職場での両立支援環境の整備に取り組む企業を支援するための助成金です。

本記事では、

✅ 制度の概要

✅ 対象となる企業や条件

✅ 活用のメリット・留意点

を、社労士の視点でわかりやすく解説します。


制度の概要:「両立支援等助成金(不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース)」とは?

この助成金は、不妊治療やPMS(月経前症候群)・更年期障害など、女性の健康課題に対応しながら働けるよう、

職場の支援制度や環境整備を行う企業を支援する制度です。

例えば、以下のような社内制度を整備し、実際に対象従業員が利用した場合に受給できます。

  • 不妊治療の通院支援(短時間勤務・在宅勤務等)
  • 月経に伴う体調不良への配慮制度
  • 更年期障害に関する柔軟な働き方対応

支給条件と金額(令和7年度時点)

区分支給対象支給額
A不妊治療のための両立支援制度を 5回(日)利用30万円
B月経による症状への支援制度を 5回(日)利用30万円
C更年期に伴う症状への支援制度を 5回(日)利用30万円

※いずれも1事業主につき1回限り。

※同一の支援制度でも複数コースにまたがる申請は可。


対象企業・導入に必要なこと

この助成金は中小企業・大企業問わず活用できますが、主に制度導入がこれからの企業におすすめです。

✅ 導入に必要な条件は以下のとおり:

  • 対象制度を就業規則等に明記(例:短時間勤務、在宅勤務、フレックス等)
  • 労働者からの相談に対応する両立支援担当者を選任
  • 制度利用前に雇用保険に加入し、継続雇用中の従業員が対象
  • 支援制度の利用が実績として確認できること
  • 労働者の同意・理解を得た上での導入であること

メリットと注意点

✅ 企業側のメリット:

  • 育成・採用の観点でも「女性が働きやすい会社」アピールに直結
  • 離職防止や定着率アップにつながる
  • 制度整備で他の助成金(例:キャリアアップ等)との相乗効果も期待

⚠ 注意点:

  • 支援制度の導入実績が必要なので、「制度を作っただけ」ではNG
  • 本助成金の利用は1回限りなので、制度の設計時点で対象者とニーズを把握しておくことが大切です。

❓よくある質問

Q1. 就業規則をまだ整備していない場合でも申請できますか?

制度導入が要件となるため、申請前に対象制度(短時間勤務、フレックス等)を就業規則に明記する必要があります。

Q2. 支援金はどのような形で支給されますか?

要件を満たして申請が認められた場合、1事業主あたり最大90万円(A〜C各30万円)が支給されます(1回限り)。

Q3. 不妊治療に限らず、PMSや更年期障害でも対象になりますか?

はい。「不妊治療及び女性の健康課題」に対応するための制度整備であれば、対象となります。

Q4. すでに制度が整っている企業も対象ですか?

対象となる場合もありますが、「制度利用の実績」が必要です。助成対象とならないケースもあるため、導入前のご相談がおすすめです。


まとめ:導入前に確認すべきポイント

  • 制度内容を就業規則で明記すること
  • 労働者の同意と理解を得たうえでの導入であること
  • 支援制度の実績が確認できること(5日以上)
  • 両立支援担当者を選任して相談体制を整えること

📌 まずは制度の棚卸しと、導入の意向確認からスタートしてみましょう!


1. 厚生労働省からのご案内

厚生労働省からリーフレットが出ていますので
👉 「両立支援等助成金のご案内」からご覧いただけます。
詳細をご覧になりたい方は
👉 「両立支援等助成金支給申請の手引き(2025(令和7)年度版)」の184ページ目からご覧ください。


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