「解雇予告手当を払えば解雇できる」は危険!|知らなきゃ損する法的リスクとは?

よくある誤解:「手当を払えば即日解雇できる」は間違い

「解雇予告手当を払えば、社員はすぐ辞めさせられるんでしょ?」

経営者の方からよく聞くこの言葉。ですが、これは法律的には非常に危険な考え方です。

解雇予告手当(労働基準法第20条)は、「30日前の予告」を省略するための代替措置。

つまり、手当を払ったからといって解雇が自動的に有効になるわけではありません。

解雇に必要な2つの条件

解雇を有効にするには、次の2つが必要です。

① 客観的に合理的な理由があること

(例:長期無断欠勤、重大な規律違反 など)

② 社会通念上相当と認められる手続きが取られていること

(例:注意・指導、配置転換、医師の意見聴取などの「解雇回避努力」)

⚠ この2点が欠けていれば、予告手当を支払っても解雇は「無効」になる可能性があります。

判例紹介:拙速な解雇が違法とされた事例(東京地裁 H28.9.23)

事案:

従業員の欠勤が続いていたため、会社が普通解雇を実施。

復職の申し出があったものの、十分な協議を行わず解雇を継続した。

裁判所の判断:

「欠勤理由の確認や協議がなく、配慮に欠けていた」

「このような拙速な解雇は不法行為であり、慰謝料30万円を支払うべき」

「職業を奪う告知が精神的な打撃を与えるのは当然である」

→ このように、形式的には手当を払っても、手続きが不十分だと違法になるケースがあります。

よくあるNGパターン

  • 「今日で辞めてもらいます。手当は払いますから」で即日解雇
  • 問題行動に対する指導記録なし
  • 本人に事情聴取せず、会社側だけで判断
  • 解雇理由が就業規則に明記されていない

💥 これらはすべて「無効リスクあり」の解雇です。

まとめ:「解雇は最後の手段」です

解雇は、経営判断としても重大な選択肢。

そして、手続きの慎重さ・適法性が強く求められる分野です。

  • 「予告手当を払えばいい」という簡単な話ではありません。
  • 解雇はあくまで“最終手段”。
  • 対応に迷ったら、社労士など専門家に相談を!

📌 リンク

厚生労働省:労働契約の終了に関するルール

厚生労働省:解雇と不法行為に基づく損害賠償請求に係る裁判例

【安全配慮義務とは?】会社が従業員の健康を守るために必要なこと【労契法5条/安衛法3条】


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