SNS・情報発信の社内ルール|炎上・信用失墜を防ぐ“最低限”の実務ポイント
採用広報、日々の情報発信、私的SNS…。
便利になった一方で、一度の投稿が企業イメージを大きく傷つける時代です。
本記事では、最低限これだけは整えておきたい社内ルール(公式・私的SNSの両方)を、条項例・チェックリスト・初動対応フローまで実務目線でまとめます。
1.まず決めるべきは「二段構え」
- 就業規則/誓約書:守るべき義務・懲戒の範囲(全体ルール)
- SNS運用ポリシー:具体的運用・承認・事故対応フロー(実装ルール)
先に“原則(就業規則)”、次に“運用(ポリシー)”。この順で整えるとブレません。
2.“最低限”の禁止・制限(会社・私的どちらも)
- 機密情報の開示(顧客情報・価格・営業秘密・未公開企画・社内画面の写真など)
- 他者の権利侵害(著作権・商標・肖像権・個人情報・プライバシー)
- 差別・ハラスメント・誹謗中傷(職場内の出来事をネタ化しない)
- 虚偽・誤認を招く表現(景品表示観点/誇大・断定・医療・効果効能の断定等)
- 利益相反・競業に当たる情報発信(副業先の宣伝・取引先の内部情報)
- 業務端末・社内データの私的クラウド同期(無断のスクショ・コピー・転送)
ルールは「具体例つき」で明記。“何がNGかが一目で分かること”が炎上防止のコアです。
3.投稿前チェックリスト(保存版)
公開前に10秒で〇×判断しましょう。
- 顧客・取引先・同僚が特定される情報は入っていないか
- 写真・画像・楽曲・地図などの利用許諾・出典は明記したか
- 社内画面・会議・書類の写り込みはないか(モニタ・名札・QR含む)
- 効果・品質を断定していないか(「必ず~」「100%」など)
- 比較・他社言及が攻撃的になっていないか
- 個人の意見か会社方針か、区別がつく書きぶりか
- 炎上ワード/差別表現が混入していないか
- 勤務時間・立場として**“不適切なタイミング”**での投稿ではないか
- 共有範囲(公開/限定)が適切か
- そもそも投稿する必要があるか(価値>リスク?)
4.公式アカウントの運用ルール(最小構成)
- 承認フロー:原稿→確認者(広報/責任者)→公開
- 権限管理:2人以上でログイン管理/二段階認証/退職時の権限即時停止
- 素材ルール:画像は著作権クリア/人物は同意取得(書面orフォーム)
- レスポンス方針:クレームは一次受け→DM誘導→社内チケット化
- 投稿カレンダー:頻度・時間帯・NG日(訃報・災害時は自粛)
- ログ保全:原稿・公開後差分・スクショを90日以上保管
5.従業員の“私的SNS”の取り扱い(過剰禁止は逆効果)
- 所属の明記は任意だが、記す場合は「見解は個人に属します」ディスクレーマを推奨
- 勤務・安全に支障が出ないこと/勤務時間中の私的投稿は控える
- 機密・顧客・内部事情は一切発信不可(在職・退職後とも)
- トラブル発生時の社内連絡義務(人事・広報への即時連絡)
- 政治・宗教・社会的テーマに触れる場合は会社ロゴ・制服の利用禁止
過度な一律禁止は定着・採用に逆効果。禁止は必要最小限+透明性で。
6.条項サンプル(コピペ下地)
自社実態に合わせて調整してください(就業規則・誓約書・SNSポリシーいずれにも転用可)。
(情報発信の基本)
従業員は、業務・私的を問わず、SNS等による発信において、会社の信用を害し、または顧客・取引先・従業員その他の権利利益を侵害してはならない。
(機密保持・写真投稿)
会社の営業秘密、個人情報、顧客情報、未公開情報、社内システム画面、会議・帳票等が判別可能な画像・動画を投稿してはならない。人物の肖像・取引先ロゴ等を掲載する場合は、事前に必要な同意・許諾を得る。
(著作権・商標)
第三者の著作物・商標等を利用する場合、適法な範囲で行い、必要に応じて出典・クレジットを表示する。
(公式アカウント)
会社の公式アカウントによる情報発信は、所定の承認を経て行う。アカウント資格情報は会社が管理し、退職・異動時は速やかに権限を停止する。
(私的SNS)
従業員が私的にSNSを利用する場合で会社名・所属を明らかにするときは、当該見解が個人に属する旨を明示し、会社の機密・顧客情報等を発信してはならない。
(違反時の措置)
前各条に違反し、またはそのおそれがあると認められる場合、会社は投稿削除の要請、指導、就労上の必要な措置、懲戒等を行うことがある。
7.炎上時の“初動カード”(印刷掲示おすすめ)
- 発見→3分以内:スクショ保存・URL控える(削除前に証跡)
- 社内通報:責任者/広報/人事へ即時共有(テンプレフォーム)
- 一時停止:関連投稿・広告配信を一時停止
- リスク判定:事実確認(個人情報・法令・差別・著作権)
- 一次対応:公式声明のドラフト(お詫び/経緯/再発防止の方針)→必要に応じ公開
- 再発防止:ルール・教育・権限見直し、関係先へ個別連絡
“削除だけ”は逆効果な場合あり。証跡→事実確認→誠実な説明が原則。
8.まとめ
- 最低限でも**(1)禁止・制限の明確化(具体例つき)、(2)承認&事故対応フロー**、(3)私的SNSの取り扱いを整備
- 過度に縛らず、守るべき線は太く
- まずはチェックリスト+初動カードから運用開始を
📌 次回予告
👉 「採用広報で使う写真・画像の著作権・肖像権の実務Q&A」
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