派遣労働が禁止されている業務とは?【建設・警備・港湾ってなに?】
派遣社員の活用が一般化している現代でも、実は「労働者派遣が原則禁止」とされている業務がいくつか存在します。
この記事では、派遣禁止業務の代表格である「建設業務」「警備業務」「港湾運送業務」について、禁止されている理由と背景をわかりやすく解説します。
✅ 派遣禁止業務ってなに?
派遣法第4条では、労働者派遣が不適当とされる業務について「派遣禁止」と定めています。
その中で、以下の3つは特に重要です:
- 建設業務
- 警備業務
- 港湾運送業務
- 病院などにおける医療関係業務(紹介予定派遣や産前産後休業の場合などは可能)
これらの業務に派遣社員を就かせることは原則禁止されており、仮に違反した場合は行政指導や許可取り消しなどのリスクもあります。
🏗️ 建設業務
建設業務とは、建物の建築・改修・修繕・解体などを行う仕事を指します。
これが派遣で禁止されている主な理由は以下のとおりです:
- 安全管理が重要で、現場ごとの指揮命令が必要
- 労災のリスクが高く、統一的な労務管理が求められる
- 一時的に人を送り込む派遣形態では、十分な教育や安全対策が難しい
なお、建設業の現場では「請負契約」や「常用雇用(期間の定めなしの雇用)」で対応するのが一般的です。
🛡️ 警備業務
警備業務とは、施設警備・交通誘導・イベント警備など、いわゆる「人の安全を守る仕事」です。
- 法令上の警備業法により、警備業務は「直接雇用」が基本
- 高度な判断力や即応性が必要で、派遣形態では責任の所在が曖昧になる
- セキュリティやプライバシーの観点からも、適切な管理が必要
こうした性質から、警備の仕事には原則として派遣労働者は使えません。
🚢 港湾運送業務
港湾運送業務とは、港で貨物の積み降ろし・移動・保管などを行う仕事をいいます。
港湾労働法では、港湾の仕事は「登録型港湾労働者」によって行われる仕組みが確立されています。
- 重機などを使用する高リスク作業が多く、安全管理が重要
- 労使間の雇用ルールが整備されており、不安定な派遣形態は適さない
- 作業の熟練度や現場ごとの連携も重視されるため、短期的な労働力では対応困難
このような理由から、港湾での仕事も原則として派遣が禁止されています。
💡 例外はあるの?
一部には例外もありますが、基本的に以下のようなケースに限られます:
- 登録型派遣(港湾労働法に基づく)での港湾作業
- 派遣でなく請負契約として業務委託(ただし、指揮命令を受けると「偽装請負」になるので注意)
- 一部の専門業務型派遣に該当する場合(ただし建設・警備・港湾は原則該当せず)
✏️ まとめ:派遣が使えない業務に注意!
派遣は便利な制度ですが、すべての業務で自由に使えるわけではありません。
特に「建設・警備・港湾運送」の3業務は派遣法で原則禁止されているため、企業側も派遣元も慎重に対応する必要があります。
💡 派遣契約を結ぶ前に、対象業務が禁止業務に該当しないか、社労士や専門家へ確認することをおすすめします。
📎 参考リンク
厚生労働省:労働者派遣を行う際の主なポイント 派遣元事業主の皆さまへ(制度の概要)
一般社団法人 日本人材派遣協会:港湾運送業務
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