🚐 送迎バスでのケガは通勤災害?業務災害?―知っておきたい労災の境界線
はじめに|「通勤中のケガ=通勤災害」とは限らない?
「通勤途中に転んでケガをした」「会社の送迎バスに乗っていたら、車内で転倒してしまった」
…こんなとき、皆さんは通勤災害だと思いませんか?
実はこれ、ケースによっては「業務災害」になるんです。しかも、その判断の分かれ目は意外なところにあります。
通勤災害と業務災害の違い(おさらい)
まず基本的な違いをおさらいしましょう。
災害の種類 | 主な対象行為 | 代表例 |
---|---|---|
通勤災害 | 自宅と就業場所との移動中の災害 | 通勤電車での転倒、自転車事故など |
業務災害 | 業務中、または業務起因で発生した災害 | 作業中のケガ、会社指示の外出時の事故など |
判断のカギは「送迎バスの運行主体」
では、送迎バスでのケガはどちらに該当するのでしょうか?
ここでポイントになるのが、送迎バスが誰の手配で運行されているかです。
✅ 業務災害になるケース
- 会社が送迎バスを手配し、運行費用も会社負担
- バスの利用が事実上業務の一部とみなせる場合
- 会社の指示や業務体制として運用されているとき
▶ このような場合、通勤途中でも「業務災害」扱いになります。
❌ 通勤災害になるケース
- 公共交通機関(路線バス、電車など)を使用している
- 自家用車や自転車など、自主的な移動手段による通勤
根拠となる通達
厚生労働省の通達(昭和51年3月26日 基収1449号)では、
「事業主がその費用を負担して労働者のために運行する交通機関において発生した災害は、原則として業務災害と認める」と明記されています。
つまり、「通勤中」という状況だけで判断してはいけないのです。
実務上の注意ポイント
✅ 従業員側
- 労災の申請を急ぐ前に「通勤災害なのか業務災害なのか」迷ったら、労基署や社労士へ相談しましょう
- 誤って通勤災害で申請してしまうと、給付額や扱いに差が出ることもあります
✅ 会社側(事業主)
- 送迎制度がある場合、業務災害としてのリスクを認識し、労災保険や安全管理を徹底しておくことが大切です
- また、就業規則や雇用契約書に「送迎制度に関する明記」があると、トラブル防止にも有効です
まとめ|「通勤中」でも内容次第で業務災害になる
送迎バスにまつわるケガは、ちょっとした判断の違いで災害区分が変わる重要なテーマです。
通勤災害と業務災害の違いをしっかり理解し、適切な手続きをとることが、従業員・事業主の双方にとって大切です。
📎 参考リンク
東京労働局:業務災害について
東京労働局:通勤災害について
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