有給休暇の計画的付与って何?中小企業にもできる運用法
「有給休暇は、従業員が好きなときに取るもの」
…そんなイメージをお持ちの方も多いかもしれません。
でも実は、会社が計画的に休暇を割り当てる「計画的付与」という制度も、労働基準法で認められています。
今回は、
✅ 計画的付与とは何か?
✅ どんな条件で導入できるのか?
✅ 使う上での注意点やメリット
をわかりやすく解説します。
年次有給休暇の「計画的付与」とは?
年次有給休暇の「計画的付与制度」は、従業員が本来自由に取得できる有給休暇の一部を、企業側があらかじめ計画的に割り振ることができる制度です。
例えば、会社全体の夏季休暇や年末年始の休業日を有給休暇として指定することで、労使双方にとってメリットのある休暇取得が可能になります。
なお、「年5日の有給取得義務(働き方改革関連法)」とは別の制度であり、計画的付与できるのは5日を超える部分だけである点には注意が必要です。
どんな企業でも導入できるの?
計画的付与はすべての企業で導入できますが、次の条件が必要です。
- 就業規則または労使協定での定め
- 労働者ごとの有休残日数の把握
- 従業員代表などとの合意形成
特に「計画的付与の対象日数」「対象者」「時季の決め方」は、労使協定に定める必要があります。
制度導入後は、就業規則の整備とともに、従業員への説明を丁寧に行うことがスムーズな運用の鍵となります。
導入することで得られるメリット
計画的付与には、企業にも従業員にも以下のようなメリットがあります。
- 長期休暇を前もって確保しやすい
- 繁忙期を避けた人員配置が可能
- 取得率が上がり、行政調査対策にも有効
- 従業員の休暇取得が平準化される
中小企業においては、休暇の取得が集中して業務が回らなくなるといった課題も、あらかじめ日程を調整しておくことで解消できます。
導入時の注意点・よくある誤解
✅ よくある誤解①:有給休暇を自由に決められる?
計画的付与の対象となるのは、労働者が本来自由に取得できる年休のうち、労使協定であらかじめ定めた日です。
また、年5日の有給取得義務(働き方改革関連法)についても、計画的付与で取得させた日数をカウントに含めることが可能です。
ただし、対象者ごとに年休の残日数や取得状況を正確に把握しておく必要があります。
✅ よくある誤解②:勝手に日にちを指定してもOK?
計画的付与は、労使協定に基づくものです。就業規則だけで一方的に指定することはできず、労働者代表との合意が必要です。
また、個別の事情(家族の介護、私用など)で変更を希望されるケースにも柔軟に対応できるようにしておくと、運用上のトラブルを防げます。
まとめ:導入前にチェックしておくべきポイント
- 労使協定での明確な取り決めが必要
- 就業規則や社内周知もあわせて整備することが重要
- スムーズな運用のため、従業員とのコミュニケーションが鍵
年次有給休暇の取得率向上は、企業イメージや従業員満足度にも直結します。
無理のない範囲で制度を活用し、職場全体の働きやすさを高めていきましょう。
厚生労働省 公開資料
詳しくは、厚生労働省が公開している労働時間ガイドライン内の
👉 「年次有給休暇の計画的付与制度」をご参照ください。
「休日の取り扱い」については、振替休日や代休の違いも整理しておきたいところです。
👉 振替休日と代休の違いをわかりやすく解説した記事はこちら
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