遅刻控除と有給の関係、間違えやすい実務ポイント

「遅刻した分は給与から控除でいいですよね?」

「半日有給に振り替えれば丸く収まるのでは?」

――現場の労務相談で、非常によく出てくるテーマです。

結論から言うと、遅刻控除自体は原則可能ですが、有給との扱いを誤ると労務トラブルにつながるリスクがあります。

今回は、遅刻控除と年次有給休暇の関係について、実務で間違えやすいポイントを整理します。

1. 原則:ノーワーク・ノーペイは適用される

まず基本です。

労働の対価として賃金が支払われる以上、働いていない時間については賃金支払い義務はありません。

これがいわゆる、ノーワーク・ノーペイの原則です。

したがって、遅刻した時間分の賃金を控除すること自体は、原則として問題ありません。

2. ただし「過大控除」には注意

ここで実務上の落とし穴があります。

例えば、

  • 40分の遅刻 → 1時間分控除
  • 数分の遅刻 → 一律で30分控除

このように、実際に働いていない時間を超えて控除すると、賃金全額払いの原則(労基法24条)との関係で問題になる可能性があります。

遅刻控除を行う場合は、

  • 控除単位
  • 計算方法

を就業規則や賃金規程で明確にしておくことが重要です。

3. 有給での処理は「本人の請求」が前提

ここが最も誤解が多いポイントです。

年次有給休暇は、原則として労働者本人の請求によって取得するものです。

そのため、会社側の判断だけで、

  • 遅刻分を有給に振り替える
  • 有給を自動消化させる

といった運用は、原則として適切とはいえません。

■ よくある誤解

❌ 遅刻したから会社判断で有給にしておく

❌ 欠勤分を自動的に有給消化

❌ 本人申請なしで半休扱い

これらは、後からトラブルになる典型例です。

4. 半日有給の扱いにも注意

実務では、「遅刻した日は半休にしておけば大丈夫」という運用もよく見られます。

しかし、半日単位年休は、

  • 制度として就業規則等に定めがあるか
  • 本人の取得申請があるか

といった点が重要になります。

制度の根拠がないまま半休処理を行っている場合、運用の見直しが必要になるケースもあります。

5. 実務での安全な運用ポイント

遅刻控除と有給の運用を安定させるためには、次の点を整理しておくと安心です。

✔ 控除ルールを就業規則等で明確化

  • 控除単位
  • 計算方法
  • 遅刻・早退の扱い

✔ 有給取得の申請フローを整備

  • 本人申請が前提
  • 半日年休の有無
  • 会社の時季変更権の運用

✔ 帳簿との整合性を確保

  • 出勤簿
  • 賃金台帳
  • 有給管理簿

助成金申請の場面でも、これらの整合性は必ず確認されます。

6. まとめ:感覚運用が一番リスク

遅刻控除自体は珍しい処理ではありませんが、

  • 控除単位が曖昧
  • 有給を会社判断で充当
  • 半休制度が未整備

といった感覚的な運用が続いていると、思わぬ労務トラブルにつながる可能性があります。

一度、自社のルールと実務運用が一致しているか、確認しておくことが重要です。

✅ 運用確認だけのご相談も増えています

最近は、

  • 今の控除方法で問題ないか
  • 有給の扱いは適切か
  • 就業規則との整合性は取れているか

といった、事前の運用チェックのご相談も増えています。

顧問契約ありきではなく、まずは現在の運用状況を整理したい、という段階からでも対応可能です。

気になる点があれば、状況に応じて確認できます。


社労士に相談すべきか迷ったら、まずはお問い合わせください。

花田勝社会保険労務士事務所では、中小企業の労務相談・手続きを中心に、「現場で動ける実務目線」でサポートしています。

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